三つ数えろ

労務管理 人事評価 組織設計

法改正も必要だが労働基準法の運用徹底が大切だというお話

 

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日本の労働環境を語る場合、その法制度の不備よりも、実際の行政運営の不十分さを指摘する声をよく聞く(というか、ネットで目にする、いわく「労働基準局のお役所仕事批判」等)。

 

これら批判は的を射たものなのだろうか。 

 

 

以下に全労働省労働組合作成の「労働行政の現状」という資料がある。とてもよくまとめられているので全国の労働者諸君には毎朝声に出して音読してもらいたいのだが、文頭に次のようなデータが掲載されている。

 

全国に1 人でも労働者を使用する事業は約409万事業場の臨検監督を実施する場合、監督官1人あたりにすると1,600 件以上で、平均的な年間監督数で換算すると、すべての事業場に監督に入るのに25~30 年程度必要な計算となります(※平成22 年度は174,533事業場を監督し、監督実施率は4.3%)。 雇用者1万人当たりの監督官数で比較すると、日本は0.53人となり、アメリカを除く主要先進国と比して1.2倍~3.5倍の差があります。平成20年度に実施した監督の労働基準法等の違反率は68.5%であり、3分の2以上の事業場で法律違反があることから、日本においては労働者の労働条件が十分確保されているとはいえない状況です。

どうやら指摘は的を射たもののようだ。

もちろん各国によって労働に対する価値観の違いもあるため単純に割合のみで比較するわけにはいかないが、先進国中最悪といわれる日本の労働環境[要出典]の向上を図っていく上で、監督実施率が5%未満というのは心もとない割合だ。感覚的には国税局の調査同様に最低5年に一度くらいの労務監査があってしかるべきだろう。

 

これを実現しようとする場合、年間の監督実施率を20%に上げる必要があるわけで、監査官の人数は現状の5倍程度が必要だ(計算あってますか?)。もちろん、国策として監査官の増加を推進することは重要になるが、ここはひとつ監査官をサポートする臨時補助職員を増加させてはどうだろう。この臨時職員には、2000年前後に就職氷河期で人生の出鼻をくじかれた非正規層を優先的に採用する(年齢制限などがあれば緩和して)。実際に現場で苦労してきた分、鬼のような形相で間違いなくお役所仕事以上の働きをしてくれるだろう。

 

「監査官を増やしたところで意味ないよ」という声もあるかもしれない。しかしこの声は抜け道を探す経営者が頬を引き攣らせながら発するべき言葉であって、労働者が言うものではない。なによりルールは増やしたり減らしたりすることよりも、決めたものを徹底させることが肝心なのだ。

 

雇用の安定と労働環境の改善が図れる一石二鳥の施策だと思うのだが誰かまじめに考えて頂けないでしょうか。。。