三つ数えろ

日本人の働き方とか社会保障についてせん妄状態で記述していきます

なぜ企業は新卒採用をやめられないのか

 

さて12月です。2013年以降に卒業した学生から新卒採用はこの時期に開始され、約半年間をかけて内定をめぐる学生の戦いが始まります。

 

企業はなぜ新卒採用を行うのでしょう

常々、なぜ企業は新卒採用を行うのか疑問に感じています。入社後3年間で3割が退職し、30代後半までの社会人のうち実にその5割近くが転職経験者であるという統計もあるなか、あえて企業が新卒採用を続ける理由を整理してみました。

 

 

 

 

企業が新卒採用を行う理由について、人事業務のアウトソーシングを行っているレジェンダ社が行ったアンケートがあります。同社はこの調査を毎年行っていますが、結果はあまり代わり映えしません。2013年の結果は以下のようになっています。

 

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①将来の幹部候補の育成 42.3%

②社内活性化 15.3%

③現場での戦力確保 14.6%

④企業文化の醸成 13.9%

⑤年齢構成ピラミッドの維持 12.4%

出典 2014 年新卒採用企業の意識調査 企業、『通年採用』より『一括採用』を支持~一括採用に賛成6割強 理由は、効率と効果を求めた"合理性"~ | レジェンダニュース

 

選択式での回答とはいえ、やはり腑に落ちない結果です。

 

というもの新卒採用の理由としてあげられている②③⑤については新卒にこだわらず中途採用でも実現可能なものように思えるからです。特に社内の活性化や現場での戦力確保などについては新卒よりも中途のほうが効果的なように感じます。そう考えてみると新卒採用についてはとりわけ①と④が重要になってくる、つまり「企業文化を体現した優秀なリーダー候補を長期的な視点で育成する」という目的のため多くの企業は新卒採用を行っているということになります。

 

本当でしょうか。

 

まずもって(「電通マン」のような)「企業文化」のようなものがあったとして、これだけ市場も顧客も大きく変化している世の中で、こうした個々の従業員に立脚した文化というものにどれだけ意義があるのか疑問です。逆にこうした世の中だからこそ、という企業側の想いもあるかもしれまんせんが、しかし日立とパナソニックとNECの社員に、にじみ出るような企業文化的違いがあると思いますか?そしてそれがそれら企業の強みになっているのでしょうか(我々はApple社員が皆ジョブズのようであるからiPhoneを選んでいるわけではない)。

 

また、優秀な人材の早期確保という点も疑問です。新卒という社会人としてゼロ実績の集団の中から、ごく限定的な機会の中で、その後の企業の命運を握るような真に優秀な人材を選別し、かつその優秀さを維持しながら新卒で入社した企業に席をおき続けるとどれだけの人間が本気で信じているのでしょうか。

 

誰一人として信じてはいないでしょう。

 

そうなると企業が回答する新卒採用の意義というものは眉唾もの、ただの建前である可能性があります。では新卒採用を続ける真の理由はどのあたりにあるのか。思い当たるところを書いてみましょう。

 

一括作業による人事業務の効率化ができる

もっとも大きい理由はこのあたりでしょう。一年のある時期に大量の就業希望者が市場にあふれるというのは計画的な採用目標を与えられた人事部にとってはまたとない実績確保の機会です。また新卒採用については試験、面接、内定、入社、配属、教育を一括かつ計画的に行えることも人事部にとってはこのうえない環境でしょう。簡単にいえば人事が楽ができるからやっている、ということになります。

 

他社もやっているし、ずっとやってきたから

新卒採用を行うような大きな組織だと、他社がやっていることをしないという選択肢は非常にネガティブな要素を含みます。また新卒採用を停止したことによる10年後の人材効果が予測しづらい点も理由でしょう。なぜうちは新卒採用を行わないのかと社長に問われた時に合理的な理由で説得できる人事役員がいないことが企業が新卒採用をやめられない原因でしょう。

 

とはいえ、誰かが新卒を採用しなければならないから

たとえ中途採用のほうが効率的であったとしても、誰かが新卒を採用しないわけにはいきません。そうした社会的要請と、それに応える社会貢献的PRの側面から続けている企業も多いと思います。また人件費を低目に見積もれるというメリットもないわけではありません。

 

 

いずれにしても企業が新卒採用を行う理由は大した戦略や考えがあってのことではなさそうです。3Dテレビと同じくらい惰性で場当たり的なかんじでしょう。

 

そうした新卒採用を行う企業の(というか人事部の)思惑を知ったうえで取り組めば、就活も少しは気楽に余裕をもって行えるかもしれません。ここは我慢しておっさんの事務仕事に付き合ってあげてください。その程度のものです。

 

 

採用基準

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