無印良品、増税後も価格据え置き 75%は実質値下げ:朝日新聞デジタル
生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画は7日、4月に消費税が8%へ引き上げられた後も、大半の商品について税込みの価格を据え置くと発表した。実質的に増税の3%幅分を値下げする。生産委託先を中国からより工賃の安い東南アジアへ移したり、物流を効率化したりすることで、値下げ分をまかなう。
この記事。
今春より消費税が8%に引き上げられますが、その影響で個人消費の減少し景気の腰折れが懸念されています。
ところでこの「消費税」という税金について、皆さんは正しく理解しているでしょうか?私は消費税について2つの大きな誤解をしていましたが、今日はこの誤解について整理してみました。
誤解① 消費税は消費者が納税しているわけではない。
買い物をしてレシートを見ると、そこにはこのような印字があります。
合計 ¥105円(うち消費税5円)
あなたはこう考えるでしょう。
本体価格100円の品物を購入し、5円の消費税を支払った(納税した)。
しかしこれは正しくありません。
なぜなら消費税は消費者(ここでは一般消費者を指す。以下、消費者)の購入金額ではなく、事業者の売上に対して課税され事業者が納税する税金だからです。
つまり105円の品物には100円の本体価格と5円の消費税という区分は本来存在せず、105円の品物はあくまで105円です(別に100円であっても120円であってもいい)。105円支払ったからといって5円の消費税を消費者が納税しているわけではありません。
なぜ、このような、あたかも消費者に対する税金であるかのような表記なのでしょう。
それは消費者からの消費税導入の反発を国にむけるため、事業者が画策し、国がそれに応じて容認したからです。ただし「もうそろそろそういうことやめない?」ということで、こうした誤解を生む表記を改める総額表示という規定も設けられています。
上記の記事によれば無印は今後完全に本体価格のみ表示にするようです。消費税導入から20年以上経てようやくあるべき姿になったわけですね。
誤解② 消費税は消費者が負担する義務はない。
では、あなたが今、支払った5円はなんなのでしょうか?
財務省のサイトには消費税について以下のような説明資料があります。
消費税は、消費一般に対して広く公平に負担を求める税金です。そのため、原則として全ての財貨・サービスの国内における販売、提供などを課税対象とし、事業者を納税義務者として、その売上げに対して課税を行うとともに、税の累積を排除するために、事業者は売上げに係る税額から仕入れに係る税額を控除(仕入税額控除)し、その差引税額を納付することとされています。 事業者に課される消費税相当額は、コストとして販売価格に織り込まれて転嫁され、最終的には消費者が負担することが予定されています。
「最終的には消費者が負担することが予定されています」という箇所が味わい深いです。
消費税は物品・サービスの販売、提供に課税されるものですが、その課税分を消費者へ負担転嫁することはあくまで「予定」であり、法律的な義務があるわけでもありません。つまり上記の5円は事業者が納税する消費税を、小売価格に上乗せしているだけ、ということになります(これを転嫁といいます)。
要するに国内商取引から5%の上前をはねたい国がいて、その負担をババ抜きしている事業者と、当たり前のようにその負担を押し付けられている消費者がいる構造です。
消費税は多くの国で導入されているものですが、呼称は付加価値税、売上税、物品税だったりと様々です。一時期には消費税の一部を「福祉税」という呼称で増税しようとしましたが、つまり名前はなんでもいいわけです。消費税の転嫁の構造をみると「事業取引税」といった名称がしっくりくると思いますが、あくまで消費者に負担させたい財界などの思惑もありこのような名称に落ち着いたのではないかと思います。