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労働関連法で女性はどのように守られているかのまとめ

 

労働法で働く女性はどのように守られているか

 

労働基準法ほか関連法規では、女性(特に妊産婦)の保護を主旨としたルールがいくつもあります。女性であれば適用されるものと妊産婦限定のものがあり、社会保険労務士試験でも細かく聞かれる点ですので整理してみました。

 

妊産婦とは?

労働法上では

  • 妊婦=妊娠中の女性

  • 産婦=産後1年を経過しない女性

また上記をあわせて妊産婦と定義しています。

 

男女同一賃金の原則(労働基準法第4条)

会社は、従業員が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはいけません。

労働基準法で定めているのは賃金についてのみであること、また差別的取扱いについては有利な扱いも禁止していることに注意してください(他に男女雇用機会均等法では広範囲な男女差別禁止規定があります)。

たとえば男性は必ず総合職、女性は必ず一般職として賃金について格差を設けてはいけません。ただし性別とは別の理由でこの区別が定められている場合はこの限りではありません。

 

坑内労働の禁止(労働基準法第64条2)

会社は、妊婦を坑内(トンネル内)で行われるすべての業務で働かせてはいけません。

産婦については、会社に申し出をした場合は坑内で行われるすべての業務で働かせてはいけません。

妊産婦以外の女性については、坑内で行われる業務のうち人力により行われる掘削の業務その他の女性に有害な業務で働かせてはいけません。

 

生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置(労働基準法第68条)

生理日の女性が休暇を請求した場合、会社は、その女性を生理日に働かせてはいけません。ただしこの生理休暇を有給休暇にするかどうかは労使に委ねます。

 

婚姻、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等(男女雇用機会均等法第9条)

会社は、女性従業員が結婚、妊娠、または出産したことを退職理由と予定する定めをしてはいけません。「予定する定め」とはあらかじめ就業規則等で定めることを指します。

 

産前産後休業(労働基準法第65条)

産前休業について

会社は、6週間(双子妊娠の場合は14週間)以内に出産する女性が請求した場合働かせてはいけません。

産後休業について

会社は、産後8週間を経過しない女性を働かせてはいけません。
但し、産後6週間を経た後は、本人が請求した場合、医師が支障ないと認めた業務であれば働かせることは問題ありません。

この場合の休業手当は労働基準法では保証されませんが、健康保険から日給の3分の2相当額が支給される「出産手当金」という制度があります。

 

解雇制限(労働基準法第19条)

会社は、産前産後の女性の産前6週間産後8週間の期間及びその後の30日間は解雇してはいけません。ただし天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においてはこの限りではありません。

 

育児休業(育児・介護休業法第5条、第9条の2)

従業員(男性も含む)は、会社に申し出ることにより、原則として子どもが満1歳(両親ともに育児休業を取得した場合は1歳2か月)になるまでの間、育児休業をすることができます。

育児休業中の賃金については雇用保険から育児休業給付を受けることができます。

また育児休業中の従業員又はその配偶者に以下の事情がある場合、子どもが1歳6ヶ月までの間、育児休業をすることができます。

  • 保育所に入所を希望しているが、入所できない場合。

  • 子育てを行っている配偶者が死亡、負傷、疾病したことにより子育てが難しい場合。

 

軽易業務転換(労働基準法第65条)

妊婦が請求した場合、会社は、他の軽易な業務に転換させなければいけません。ただし申し出により新規にこうした軽易な業務を新設する義務までは負いません。

 

時間外・休日労働・深夜業の規制(労働基準法第66条)

妊産婦が請求した場合、会社は、時間外労働・休日労働・深夜業をさせてはいけません。

 

労働時間等に関する規定の適用除外(労働基準法第41条)との関係

妊産婦であり、かつ管理監督者である場合、41条が優先され、66条の保護規定は適用されません。つまり女性の課長(という管理監督者)はたとえ彼女からの請求があったとしても残業を命じることができます。

ただし管理監督者であっても深夜業(午後10時から午前5時)に関する規制については66条が優先されるため妊産婦に深夜業を命じることはできません。

 

危険有害業務の就業制限(労働基準法第64条3)

会社は、妊産婦を妊娠、出産等に有害な業務で働かせてはいけません。

 

妊産婦に対する変形労働時間制の適用についての制限(労働基準法第66条)

妊産婦が請求した場合、フレックスタイム制以外の変形労働時間制で働かせてはいけません。

 

妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置(男女雇用機会均等法第12条13条)

会社は、女性が母子保健指導、または健康診査を受けるための必要な時間を確保したうえで、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な対応をしなければいけません。

 

育児時間(労働基準法第67条)

満1歳未満の子どもを育てる女性従業員は、休憩時間とは別に、1日2回それぞれ少なくとも30分育児時間を請求することができます。2回のとり方やその時間帯はその女性の自由であり、1回でまとめてとることも可能でです。会社は、育児時間中、その女性を働かせてはいけません。

 

時間外労働の制限(育児・介護休業法第17・18条)

会社は、小学校に上がる前の子どもを育てる従業員(男性を含む)が請求したときは、1ヵ月について24時間、1年について150時間を越えて残業させてはいけません(ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りではありません)。

 

深夜業の制限(育児・介護休業法第19・20条)

会社は、小学校に上がる前の子どもをを育てる従業員(男性を含む)が請求したときは、深夜(午後10時から午前5時までの間)に働かせてはいけません(ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、この限りではありません)。

勤務時間の短縮等の措置(育児・介護休業法第16条の8、第23条)

会社は、3歳未満の子どもを育てる従業員(男性を含む)の申出に基づき労働時間の短縮労働(1日6時間)を認めなくてはなりません(育児休業をしていない従業員に限る)。

また、会社は、3歳未満の子どもを育てる従業員(男性を含む)が子どもを育てるために請求した場合は、所定労働時間を超えて働かせてはいけません。

 

対象が妊婦なのか産婦なのか妊産婦なのか?また請求(申し出)があって始めて発動するものか、自動的に発動するものかを特に注意したいところです。

 

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