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請負と準委任の違いを図解でわかりやすく説明

請負と準委任

 

俺、コンサルタント。準委任だから品質には責任持ちません (1/3):「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(61) - @IT

お前らみんなわかってない

2019/01/07 23:03

 

提案も飲み込んでもらった、見積もりも予算を潜った、よし成約だというプロジェクト受注間際になって、さて契約はどうしましょうかと話になる。主に営業部と技術部門間で委任だ請負だというやりとりが始まるが、隣でシュレッダーをかけながら聞くこともなく耳にしていると、どうもこいつら請負と準委任の違い全然わかってないんじゃないかと半ば唖然とすることがある(シュレッダー係に発言権はないが)。 

 

請負と準委任は明確に区別される契約形態で、その違いは大きい。ポイントを下記にまとめてみた。

 

 

請負と準委任の違い

 

請負と準委任

 

指揮命令権

まず発注者はいずれの契約においても業者(請負人および委託者)への指揮命令権はない。一部において準委任契約の場合は、発注者に指揮命令権があるような認識があるようだが、おそらく準委任契約という名のSESを長く経験した結果による誤解だろう。

 

完成責任と瑕疵担保責任

次に請負契約の大きな特徴としては「完成責任」と「瑕疵担保責任」が発生するということである。完成責任にはいついつまでに完成させるという納期の定めも含まれている。瑕疵担保責任というのは「完成させるといったものに検収後に瑕疵(不具合)が見つかった場合、一定の期間内であればそれを①追加費用なく修補するか、②損害賠償を払うか、③契約解除(なかったことにして発注者は代金を支払ことを免除される)」というものである。準委任契約においてはこの完成責任および瑕疵担保責任はない。

 

準委任契約の期限の定め

一方、準委任契約にどのような契約的制約事項があるかといえば、委託された業務を適切に実施すること、その内容を適時発注者に報告することが求められる。完成責任がないため、準委任契約には期間の定めがあることが一般的である。例えばA社の業務改善の調査を準委任で受注した場合、その調査期間を二ヶ月間とするというような定めとなる。

 

再委託

次に、これはあまり知られいないが、請負契約においては、請負った業務の一部を第三者(さらに下請業者)に再委託することができる。結局のところ、決められた成果物を決められた期日までに、予定通りの金額で納品すれば債務履行となるためだ。

 

逆に準委任契約においてはこの再委託が制限されることが多い。何故なら発注者は委託者の力量やこれまでの実績からなる信頼関係に対して準委任するのであって、実力もわからない第三者に仕事を任せた訳ではないからだ。

 

契約解除

最後に、請負契約の場合、請負者が契約破棄を申し出た場合は、債務不履行と見做し損害賠償を請求することができる。一方、準委任契約の場合は、双方がいつでも契約解除をなんらのペナルティなしに行うことができる点も大きく異なる。

 

まとめ

さて、文頭の記事に戻ろう。この記事によるとコンサルタントはユーザーとの間に締結した準委任契約を盾に、完成責任ならびに瑕疵担保責任がないことを主張した。しかしながら裁判所は契約はユーザー企業がコンサルタントに求めたのは単なる外野としてのアドバイスではなく、ユーザが求めるシステムの提供だとみなした。

これは私の想像だが、コンサルタントはコンサルタントでユーザーが望むシステムの実現を口約束していたのではないかと思われる。

何れにしても、裁判所はこのコンサルタントのプロジェクトへの関わりを準委任ではなく請負と判断した。準委任契約という形式ではなく、業務の実態から、期待された役割から請負契約であると判断したということになる。

 

請負契約と準委任契約の違いは、その契約書の形式はなく、実態で判断されるということを肝に命じて欲しい。

 

 

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