三つ数えろ

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残業は月45時間が上限という誤解

 

残業時間45時間

いよいよ来年4月1日(2019年4月1日)より、残業時間の上限が定められた改正労働基準法が施行される。実に1947年の労働基準法制定以降、もっとも大きな意味合いをもつ改正となるはずだ。

 

「はて?残業時間上限って一応月45時間じゃなかったっけ?夢の話?」と首を傾げた読者むけに、この残業時間上限について整理してみた。

 

 

現行の労働基準法における残業時間規制について

現行の労働基準法においては、残業時間(時間外労働時間)の上限を定めた規定はない。法律上は上限どころか、1分も許していない。ただし同法36条1項において、やむを得ない場合の策として会社は労働組合やそれに準じる労働者代表と「時間外労働及び休日労働に関する協定(いわゆる36協定)」を締結し、労働基準監督署長に届け出ることにより従業員に残業させることを違法ではあるが許される、としている(免罰されている)。

 

また同法36条2項において、その残業時間の上限については基準を設けることになっており、この基準である「労働基準法第 36 条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準」の告示により「月45時間」「年間360時間」が一般的な残業時間上限として認知されている。

 

月45時間はあくまで基準

しかしこの時間上限はあくまで基準である。いつもは上級官庁からの通達や告示に異常に敏感で、忖度しまくる企業経営者はこの基準を軽視し、基準…つまり目安…いわば努力目標…人類の果てしない夢!…的な位置づけで扱ってきた。あくまで基準であることから、残業時間がこの上限を上回ったとしても、即、労働基準法違反、とはならず、ゆえに罰則による強制力もケースバイケースなのが実情である。

 

時間外労働の上限規制に踏み込んだ改正労働基準法

今回の法改正は、まさに、現行のこの基準を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせる改正である。つまり、来年の労働基準法改正をもって初めて残業時間の上限は月45時間(違反した場合は処す)と法律で定められるのである。

 

(時間外労働の上限規制)
週 40 時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則として、月45 時間、かつ、年 360 時間とし、違反には以下の特例の場合を除いて罰則を課す。特例として、臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても、上回ることができない時間外労働時間を年720 時間(=月平均 60 時間)とする。かつ、年 720 時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限を設ける。

 働き方改革実行計画

 

もちろん臨時要件等の特例条項があり、抜け道的な部分があることは否めない。しかし、今まで法律上の上限規制はなにもなかったのだ。大きな前進。ようやくここまできた。俺は支持する。

 

 

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