三つ数えろ

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「税金の無駄」と言われましても

 

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旧聞に属するがこの記事。

システム構築等に国費より2,000億円を投じた住基カードの普及率が5%にとどまり、マイナンバーカードの登場で実質サービス終了になるというニュース。

 

この手の話題については「税金の無駄」という批判を受けがちであるが、果たして短絡的にそう断じていいものだろうか。ここでいう「税金の無駄」という言葉は、なにか札束2,000億枚を燃やしてしまったような、取り返しのつかない喪失を印象付けるが、実際には財布が国庫からそれ以外(大手SIerに始まりその孫請けに至る財布)に移っただけであり、国費支出はとどのつまり経済に流れる血液のようなものなのだ(一般にそれを公共事業と呼ぶ)。

 

 

税金の無駄とは

もちろんこの予算を「もっと有効に使っていれば」国民の笑顔が少しばかり増えたかもしれない。そういう意味で言うならば確かに「税金が非効率に使われた」わけで、これを「無駄」というなら反論はない。

 

しかしながら国民に広く公平にサービスを提供する行政が行うことは、そもそも非効率なものである。行政が効率や費用対効果を指標にしはじめると「後期高齢者に税金使ってなにかリターンあんの?」というそら恐ろしい話になる(国家に対しる盤石なる信頼の維持という名目で使われているとしても、だ)。

 

欧米諸国においては、こうした行政施策の費用対効果測定を目的とした実証実験が盛んにおこなわれているようだ。ただし検証までに非常に長い年月が必要であり、結果、理論構築と再現性が困難な分野であることを鑑みると「無駄にならない税金の使い道」というのはとどのつまり結果論でしかない。

ありとあらゆる税金は無駄に使われる

また、よい税金の使われ方がなされたとしても、その効用が、浅く長く効果を表すという点でその時代に評価し辛い点を勘案すれば、ありとあらゆる税金は無駄に使われると言ってもいいかもしれない。