三つ数えろ

労務管理 人事評価 組織設計

「適材適所」は正しいのか?

 

「適材適所」という言葉がある。「人材の能力・特性などを正しく評価して、ふさわしい地位・仕事につけること」を意味する四文字熟語だ。

なんとも違和感のある言葉だ。

 

本来、企業という事業体からすれば、そのミッションを遂行するため業務とその担当者という「場所」がまずあり、その次に配置するべき「人材」がいる、この順であるはずだ。ところがこの言葉ではこれが逆転しており、まず「人材」があって次に「場所(仕事)」がくる。

この考えのもと構築された組織において発生する問題は次の2つだろう。

 

 

問題①仕事が終わらない

この言葉の背景にあるのは、事業遂行のための必要な場所(職務、職掌)を企業自身がよくわかっていないという事実だ。仕事の範囲がわからなければその量もいい加減な把握に留まる。その結果、手が空いた従業員があれもこれも手がけているのが実態だろう。こうした組織の代表である日本型企業では「私の仕事」が定義されていない。そこで何がおこるのか。仕事は永遠に終わらず、残業が増え、有休が取れない事態となる。

 

問題②社員教育のコストパフォーマンスが低下する

こうした職務定義の欠如は社員教育においてコストパフォーマンスの低下として如実に現れる。職務定義が曖昧であるため日本型企業において、従業員の多くは総合職(ゼネラリスト)として育成されてきた。こうした育成方針は従業員の能力底上げという点において効果をあげた。高度成長期においては最適化されたモデルだったのだろう。しかし全方位的(十把一絡げ)の育成は常識的に考えれば非効率だし、飛びぬけた異才を疲弊させイノベージョンを阻害する。

この点について異論もある。強みを伸ばすか弱点を補強するかという話はなにも従業員教育だけに限ったテーマではないし、そもそも従業員を会社が教育する必要があるのかという意見もあるだろう。

私は従業員は会社の比較的高価な部品であるべきたと考えるため、その資質に合った利用が効果的だと考える(タイヤにエンジンの役割をさせるのは実に骨が折れる)

 

いずれにせよ経理業務研修を受けさせられて脳みそが完全に沈黙してしまった私からすれば、これからの企業各社様においては「適所適材」をその育成指針とし、効率よくその人材を消費してもらいたい。

何卒よろしくお願いいたします。