三つ数えろ

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ブラックか否かは「企業」よりも「職種」が重要

 

ブラック職種について

 

企業、またその企業が属する業種(小売や外食)をもってして「我が社はブラックだホワイトだ」という話になりがちである。それは何も間違ってはいないが、個人的には企業、業種もさることながら、職種によってそのサラリーマン人生のブラック度数というものは大きく影響を受けるように感じるし、場合によってはブラック企業を見定める決定項ではないかとさえ思う。この点について考えてみた。

 

発注者であること

職種によるブラックであるか否かの境目はけっこうシンプルで、そして身も蓋もない。

発注者側に立てるか、受注者側に回るか。

 

これに尽きる。サラリーマン人生の最大のストレスは顧客だ(ちなみに次点としては組織内顧客として上司になる。わかっているとは思うが)。

 

どこまで、一介の、単なる、どこにでもいる「顧客」であり続けることができるか。ここにサラリーマン人生のサクセスストーリーが集約される。誤解を恐れずに言えば、発注者は会社界の神だ。たとえ、どれほど社格に違いがあっても受注者の代表である営業は基本的に奴隷である。名もなき中小企業の発注者か世に名だたる企業グループの営業職か選べと言われれば、個人的野心は別にして、私は前者を選びとるだろう。長生きするのは間違いなくこちらである。

 

発注者側にたつ部門 

経営企画部、管理部、人事部、総務部、情報システム部、購買、情報セキュリティ戦略室… このあたりがこのサラリーマン界の強者になる。

 

もちろんこの職種群においてもブラック度合いについては順列がある。発注者とはいえ、企業内存在であるかぎりどこまでいっても顧客から離れることはできない。そして顧客と距離が近いほど職種としてのブラックさは増すため、できるだけ顧客から離れたポジションにある職種であることが重要だ。この場合、外部顧客の他に経営層という内部顧客からも離れる事が肝要だ。

 

ユーザ企業の情シス最強説

こうした点を踏まえ、経験上、ことIT業界に限って言えば、ユーザー企業の情報システム部(または情シス子会社)がこのサラリーマンヒエラルキーの最上位に位置する存在であると断言してもよい。最強だ。この幼き面妖な神々は、ありあまる権威の発揚の場を求めるあまり、最近では「ベンダーコントロール」なる言葉まで生み出している。恐ろしい。

 

もちろん、情報システム部は概して利益に直接結びつかない、必要経費的な存在だ。だからそこ経営層からもある程度離れたポジションが維持できてきた。今の世にはびこる情シス向けITソリューション市場(BYOD、Web会議室、DaaS、IT資産管理ツール、MDM、WAFといった各種セキュリティツール等)は、情シス担当者とその意をくんだベンダー各社の馴れ合い市場といっていい。そのあたりは幕張や国際展示場で開催される各種展示会に参加するサラリーマンの緊張感のない顔をみれば、納得いただけるだろう。