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「有休の理由を聞くことは違法か?」ほか有給休暇に関するFAQ

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前回のポストを受けて「有休」について検索から訪問する人向けに、有給休暇に関するよくある質問とその答え(FAQ)をまとめてみた。参考にされたし。

 

 

Q1:「有休」と「有給」どちらが正しいですか?

年次暇の略称になるため「有休」が正しい表記です。社内のグループウェアなどで「有給」と登録している人もいますが、「金はもらうぞ」という会社への意思表明としては間違っていません。また年休という表現もあるようです。

 

Q2:「有給休暇」と「有休休暇」どちらが正しいですか?

前者です。休みたいのはわかりますが「休」がかぶってますね。

 

Q3:福建省から来ました陳です!天皇最高!ところで大変恐縮ですが仕事休んでもお金もらえるってほんと? 

今、その話をしています。

 

Q4:陳です!ついうっかり不法就労中なんですが、日本好きだし、こんな私でも有休はもらえますよね?

もらえます。
有給休暇は、労働者であり、一定の勤務期間(6ヶ月以上)と出勤率(8割以上)があれば、正社員はもちろん、パートだろうが、学生アルバイトだろうが、試用期間中であろうが、派遣社員であろうが、陳さんのような不法就労者だろうが認められる正当な権利です。また一定の条件を満たしていなくても週の出勤日数等に比例した有給休暇がもらえます。

 

Q5:就業規則に有休の記載が見当たりません。うちは有休なし?

有給休暇を含む「休暇」についての記載のない就業規則は違法です。有給休暇は強行法規である労働基準法に基づく権利であるため就業規則にその記載がなくても(違法状態であっても)権利は発生します。

 

Q6:有休とるのに理由を聞かれた。これっていいの?

理由を聞くこと自体は違法ではありませんが、その理由のいかんによって承認の可否を決めることは違法です。「昨日は飲んだの?」と聞かれているくらいの感覚で受け流しましょう。それでもしつこく理由を聞かれたら「有休をとるため」「体を休めるため」「休むため」と回答しましょう。

 

Q7:でも、遊びに行くという理由で取ると上司がいやな顔します。

共産党員の叔父と旅行に行くと言ってやれば認めてくれるはずです(もっといやな顔しますが)。

 

Q8:会社には有休を認めない権利があると聞きました。

認めない権利はありません。会社には労働者が指定した有休の時季を変更する「時季変更権」がありますが、この行使は「事業の正常な運営が妨げられる場合」に限られます。また同時に「できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮をすること」も要求されています。慢性的に「忙しい」ことや「人手不足であること」だけでは「事業の正常な運営が妨げられる場合」にあたらず時季変更権は行使できません。

 

Q9:陳です!社長に聞いたら「おまえは書類上は働いていないことになっている」と言われました!日本人許せない!こんな私でも有休は取れますよね?あと、うちの末の妹も中国では生まれていないことになってるよ~(笑う)

こんにちは。労基法で定義する労働者とは使用者の指揮命令を受けて労働し、賃金を支払われる者です。おそらく陳さんは労働契約などを締結していないでしょうが、その客観的事実から労働者性は認められると思います。

 

Q10:有休ってまとめてとってもいいの?

本来、有休はまとめて取るものです(継続し又は分割した有給休暇を与えなくてはならない-労基法39条)。

 

Q11:有休って買い取ってくれないの?

買い取れません。違法です。
ただし時効で消滅した有休の買取などは適法で、会社の労務施策の一環として行われることがあります。これは会社次第です。

 

Q12:会社をやめます。まとめて有休を消化したいのですが引き続き等の都合で会社が困るといっています。どうすれば?

労働者は(一部の例外を除き)いつでも(14日後に)辞めることができます。そうした前提を考慮していない運営体制は会社側の脆弱性でしかありません。ひとつの解決策として退職日を引継ぎ作業期間だけ延ばし、そのうえで有休を完全消化してから辞めるという方法があります。次の仕事の関係等でどうしても退職日を延ばせないのであれば、共産党員の叔父さんにご登場頂きましょう。

 

Q13:年末休暇や夏季休暇って普通、有休?

普通は特別休暇(会社が労働協約などで決めるお休み)でしょう。ただし会社によっては有休を計画付与休暇として設定するところもあります。これも会社次第です。

 

Q14:遅刻は有休か!

日本語、大丈夫でしょうか。遅刻と有休は本来、別物です。ですが、罰則規定の絡みで遅刻の処理が面倒なため会社も働いている人も有休扱いにするケースが多いのではないかと思われます。この場合はしっかりと半休取りましょう。

 

Q15:怪我して這っても会社にいけません。これは有休ですか?

私傷病であれば有休扱いにするのが一般的です。業務上のものであればまた別の話になります(労災です)。

 

Q16:有休をとりすぎると考課やボーナスに響くと言われました。納得できません。

納得する必要はありません。有休取得を理由に労働者に不利益を与えることは違法です(労働基準法附則第136条)。ただし会社も馬鹿ではないので直接的に「有休取得が理由」で制裁することはせず、考課において「チームワークの欠如」「責任感の不足」などで間接攻撃をするでしょう。完全な言いがかりです。そんな会社辞めてしまえ。

 

Q17:陳です!有休とっても共産党政府に殺されませんか?

たぶん大丈夫。

 

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